このところ、「白い巨塔」を観てました。

新型コロナウィルス対策で、外出自粛!ってこって、家に篭ってます。
 
2月頃、平日16時から、唐沢版の「白い巨塔」を再放送してたので観てました。
勢いで?「田宮版」もほぼ1話/日のペースで観ちゃいました(久しぶり〜)。
 
で、感想を。

これまで観た「白い巨塔」

公開年      財前 ー 里見役 (ボクが観た年)
1966年【映画版】田宮二郎ー田村高廣 (20年位前)
1978年【昭和版】田宮二郎ー山本學  (1979再放送、今年3月〜)
2003年【平成版】唐沢寿明ー江口洋介 (2003年リアルタイム、今年2月)
2019年【令和版】岡田准一ー松山ケンイチ(2019年リアルタイム)
因みに、原作は読んでません。

映画版

そもそも、山崎豊子の小説はボリューム満点なので、2時間半程度の尺では、前半部分だけでも物足りないのは否めない(「不毛地帯」もね)。
ただ、既に田宮版を観て筋は知ってたので、ダイジェスト版としてはいいんではないか?
映画では財前の医療裁判1審勝訴、里見の浪速大学追放という、いわば“悪の勝利”で終わるんだけど、まぁこういうのもありだよね。黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」みたいなぁ。
ラストの鵜飼学部長の財前への言葉「財前君、船尾教授の言葉を忘れない様にね。自信過剰には、慎重と謙虚、傲慢不遜には、やはり慎重と謙虚さかなぁ、ふっふっふっふ」ってのが忘れらんないんだよね〜。
因みに、鵜飼&財前は、昭和版と同じ小沢栄太郎&田宮二郎。
田宮二郎の髭がなんともダンディ。

山崎豊子としては、「白い巨塔}は既に完結、という思いがあったらしく、この映画の高評価での続編要望にも後ろ向きだったらしいが、個人的には「山崎豊子先生!よくぞ続編書いてくださいました!」って感じだよね。

昭和版

本放送を観てたのか?どうも思い出せないんだけど、翌年の再放送は間違いなく観てた。
主演の田宮二郎が本放送を収録直後に自殺、というスキャンダラスな部分を除いても、衝撃的なドラマでした。
面白さ、のめり込み度で言えば、ボクの中では3本の指に入る傑作です。
「もう一度観たい」と常に思ってて、DVDが出た時は、なんとしても欲しい!と思ってたんだけど、何せ、当時極貧(T-T)
今回、平成版の再放送があって、思い切って鑑賞。
40年以上の願いが叶って嬉しい限り。

若い頃の記憶で過剰に素晴らしさが塗り替えられてる心配もあったけど、やはり素晴らしい!
二度目で、新たな発見もあり、当時よりさらに惚れ込みました。

平成版

本放送があった当時、どんなに頑張っても、【昭和版】には敵うまい。いや、足元にも及ばないのでは?と斜に構えて観てたけど、どっこい面白い!
昭和版に迫る出来!
昭和版での電話、電報が、携帯電話、Eメールに変わるなど、時代の変化やねぇ。
特に、財前の末期癌を本人に伝えるか否か辺りは、本人告知に対する考え方の違いが如実に現れてる。
(‘90年代に大きく変わった癌患者への本人告知の、ビフォーアフターが比較できる)
昭和版が全31回、平成版はそれより少ない21回なので、昭和版の方が細かく書かれてるのは致し方ないけど、それでも良くできたドラマですl
昭和版は、「これまで見たドラマの3本の指に入る!」と書きましたが、昭和版無かったら、平成版は「5本の指に入る」って言ってたと思いますね。

令和版

確か、2時間枠の5夜連続だったかな?
昭和版から平成版で変わった所が、元に戻った部分も結構あり。
昭和版はかなり原作に近いって話だから、平成版が特異なのかもしれないね。

短いってのもあるけど、役者陣がやっぱ物足りなくて...というか、ミスキャストだらけ。
これ以上のコメントはご勘弁くださいε-(´∀`; )
 

登場人物像/配役

配役は【昭和版】【平成版】【令和版】の順
各作品の中でどの様に描かれてるか?と配役での評価は別モンだけど、ここはあえて分けずに。
(☆:この人以外考えられない ◎:優 ◯:良 △:可 無印無記名:印象にない)

財前五郎

☆田宮二郎 ◎唐沢寿明 岡田准一
これはもうね、最初に田宮二郎の財前五郎を観ちゃってから、そのインパクトが頭から離れず、ボクが観た全ドラマ中、不動のNo.1ハマり役。
唐沢-財前を持ってしても揺るぎないものでした。
ホントに野心家で冷酷で大物感を醸し出す雰囲気。
優しいいい人役は無理だろうな、なんて思わせちゃう田宮二郎。
そんな中、チラッと見せる笑顔が女心をくすぐる?

頭の中、悪いこと満杯状態なのに、料亭で諸先輩方の前では背筋を伸ばし、しおらしい姿勢。
それは裁判中も。

しかしながら、里見への友情と、田舎の母親を想う優しさは他のバージョンよりかなり際立ってる気がする。
唐沢-財前は里見を人間として評価してるけど、医学者としてより高く評価してる気がする。
田宮-財前は里見を医学者として高く評価してるけど、より人間として恐れ、死を前にして尊敬に変わってる様に感じる。
(この辺は異論ありそう?)

実母に対しても、
田宮-財前「お袋のためにも何がなんでも教授になる必要があるんだ。そのためだったら人だって殺す」って!
そんな財前、一度だけ母親と一緒に夕食食べるシーンがあるんだけど、ホントに嬉しそうな五郎。
病床で、最後の言葉も「母さん」だったし。

まぁ、とにかく、田宮二郎は自分を財前五郎と思い込んでたって話もあるし、かなり深刻な躁鬱病があの狂気的な演技を生み出したのかもしれない。
若い時にアレを観たボクにとっては、衝撃的でトラウマに近い状態にまでなってた。
それほど素晴らしい、というより凄かった{{(>∇<)}}

里見修二

☆山本學 ◎江口洋介 松山ケンイチ
山本-里見も、江口-里見も、とてもいい。
でも、ボクの中では、やはり山本-里見。
田宮-財前と共に、スンゴイインパクトありました。
真面目で融通効かず一途な里見。それを表現するには悪役、策士、大物感のある役は一切出来なさそうな山本學がぴったり。
余談だけど、「下町ロケット(2018)」で、殿村の父さん役やった時、吉川晃司扮する財前部長に、「財前さん」と話すのを見て(「君」が「さん」に変わったけど)、ぉお!友情は続いてるんだな!?などと、勘違い感動しちゃったおっさんはこのボクですσ(^_^;)

一方、江口-里見はカッコいいよね。
「なあ、財前…」
策士や大物の役もできる江口洋介ならでは。
正義に向かって脇目も降らずまっしぐらな山本-里見に対し、患者を思い、悩む江口-里見。
両方素晴らしく、多分、先に見た方が最高!と思える様な人柄です。
後は好みかな?
ボクは山本學の里見先生がホントに素晴らしく、惚れ込んでしまったので、山本-里見の方が好きだけど、江口洋介の方がいい!という方がいらしても、それは尊重するしわかります、一切反論しません。
その位、その時代時代でベストマッチな配役。

五郎ちゃんの愛人、バーのホステス/花森ケイ子

☆太地喜和子 黒木瞳 沢尻エリカ
これはもう、ボクの中では、太地喜和子しかありえない!
映画版の小川真由美も色っぽかったけど、クラブのホステスって感じじゃなかったんだよね。
黒木瞳もちょっとなぁ。
太地-ケイ子は最初から“女子医大中退”らしく?医療に詳しい。
そして、五郎ちゃんにホント好き勝手言って、財前がよく「ホントに言いにくいこと言うよなぁ」って言われるがままなのが面白かったな。
田宮-五郎ちゃん、全く頭が上がらない。
でも、そんなケイ子も終盤はホントに五郎ちゃんの体のこと心配してて。
太地-ケイ子は相手が田宮-五郎ちゃんだから成り立つってのも感じる。
二人は対。

二人とも亡くなり方がちょっと...というのも因縁じみた。
あっ、あんまりこういうこと言っちゃいけないね。ドラマと関係ないし...m(_ _)m

東教授

◎中村伸郎 ◯石坂浩二 寺尾聡
中村-財前は結構威厳ある様に思うんですが、石坂-財前はかなりヘタレ教授に描かれてるよね。後輩の船尾教授に「甘いお方だ」なんて言われちゃってorz
 
最初に中村-財前見ちゃったからか、石坂-財前はちょっと物足りない感じがしたけど、多分、石坂-財前を先に見てたら、中村-財前は違う!と感じると思うね。
それとも、単に好みに依るのかなぁ?
ボクは、石坂-財前認めつつ、中村-財前が好き。
「○○してくれたまえ」ってね(^_^;

東教授の奥さん/東政子

◎東恵美子 ◯高畑淳子 △高島礼子
昭和版東奥さん、ホント、ヤな人ですよねぇ(–#)。
さらに平成高畑は、ヒステリックなキャラが加わって、高畑淳子はこのドラマで、人気が出た感じだよね~~。
超個性的な東奥さんでした。
でも、特に強い個性あるしゃべり方でなく、淡々と矢継ぎ早に身勝手なことばっか言う昭和版の東恵美子の方が、ムカツクーーー!(`_´)
もう、画面から消えて欲しい!と思いましたね、アタシャァ。

東教授の娘/東佐枝子

◎島田陽子 ◯矢田亜希子 -
昭和版の矢田亜希子も綺麗なんだけど....
島田陽子-佐枝子さんのお嬢様っぷりたるや!
あんなに綺麗なのに、「いい年になっても行き遅れ」とか
超箱入り娘の、ハンパない世間知らずで、
「・・・・ですわ」口調。

当時でさえ、上流階級でもこんなお嬢様居るの?って位の非現実感。
里見への想いは、三千代さんや、東お父様にまでばれてしまう、不器用さ。
そこがまた、ハラハラさせて、いいんですよねぇ。
山崎豊子って、こんな恋愛も書けるんですね。(おっと失礼?TVの演出?)

里見の妻/三知代

◎上村香子 ◎水野真紀 徳永えり
結構、出てきますよね。
財前の病院内の立場に絡む生活のこととか、佐枝子さんと里見との三角関係?もありで、出演機会は多い。
上村香子と水野真紀、似てますよね。

水野真紀は当時(平成版放映時)、結構な人気で、それに引き替え上村香子は「俺たちの旅」の秋野大作が追っかけ回す「紀子はぁん」なので、あんまり綺麗でないイメージだったけど、今回観直したら、結構可愛いですねぇ。ちょっと、惚れ直しちゃいました(^_^;)

なかなか、良かったですよ。香子さんも真記さんも。

女優さんとしては、徳永えり、好きなんだけどね f(^ー^; 上の2人ほどピッタリではないかな?

財前の義父/財前又一

◎曽我廼家明蝶 ◎西田敏行 -
強烈なキャラクターですよねぇ。
曽我廼家-又一、居そうですよねぇ。
西田-又一、完全ウケ狙いでしょ?(笑) カツラ含めて。(^_^;)

好みの分かれる所だろうけど、どっちもイイ!
もう、五郎ちゃん大好き!てのが滲み出てていいねぇ、どっちも。
まぁ、なんでもかんでも金金!で観てて、イラッとするけどね。
五郎ちゃん死んじゃった時の泣きじゃくりは、欲しかったのは名声だけじゃなかったんだな、ってホロッと来ちゃったね。

又一と同期生、医師会会長/岩田重吉

◎金子信雄 ◯曽我廼家文童 ー
これまた、強烈なキャラクター。医師会の岩田はん、わっるいヤツですよね~~~。
もう、金子信雄にはかないませんね、なにせ、元極道ですから(って、そりゃ「仁義なき戦い」での話し)
お仲間の渡辺文雄とのコンビがまた、相乗効果の悪さ加減。
いやぁ、それにしても、昭和版は贅沢な配役だなぁ。

鵜飼医学部長

◎小沢栄太郎 ◯伊武雅刀 松重豊
同じ政治屋なんだけど、ちょっとイメージ違いますね。
小沢-鵜飼は、策士だけど、当初は(財前を担ぐ前)、割とまっとうな人間の様に書かれてるけど、伊武-鵜飼はモロ悪人だよね。最初から最後まで。
小沢-鵜飼の方が自然な感じがするけど、もっと悪く!ってお望みのムキには伊武雅刀かな?アク強いよね〜。
財前又一と同様、好みの分かれる所かも。

浪速大学病理学科/大河内教授

◎加藤嘉 ◎品川徹 岸部一徳
昭和版観た後、ずっと大河内教授は、「砂の器」の加藤嘉しか考えられなかった。それほどハマり役でしたが、まさかまさかの平成版での品川徹!
こんな役者が居たのか!?と驚いたほど、ハマり役。
加藤嘉、真っ正直で堅物だけど、人のいいおじいちゃん、みたいなところあるけど、品川徹はスンゴイ怖いよね。「奈良の大仏さんより堅物」と言わせしめた加藤-大河内よりさらに堅そう。叩いたら、手が痛そう(..;)
 
これから先、この2人と同等以上のハマリ役はなかなか難しいよね。
令和版の岸辺一徳なんか、ドクターXでの金の亡者、名医紹介所のボスだかんね~。

浪速大学整形学科/野坂教授

◯小松法正 - ◎市川実日子
この人もくせ者だよね~。
財前大ッ嫌いなんだけど、教授選で自分がキャスティングボートを握ると、東派、財前派と両方にいい顔して、なんとも...
役者的には昭和版、平成版共に、可もなく不可もなくですかね?
令和版では、女性の教授という冒険設定。
この市川実日子、シンゴジラでの環境省野生生物の専門家と言い、こういう役ハマりますなぁ。
レンタネコの時とは、ずいぶんイメージ変わったね。

第一外科/佃医局長

◎川原崎長一郎 △片岡孝太郎 △八嶋智人
イラッと来るほどの佃の茶番頭っぷりは、3人とも見事に演じてるんですが、昭和版河原崎長一郎は、それに加え、財前が好きで好きでたまらない感が滲み出てて、「おまい!完全に医者とはナニカを見失ってるだろう!」って感じが一番強い。
正に Love is Blinde 状態。

財前死後、遺体を解剖室に送る時の佃のハンパない泣きっぷり、ほとんど立ってるのもやっとでふらふら歩く姿は強烈に記憶に残ってますよ。
その記憶が強烈すぎて、平成版でも泣きながらついてくる佃の姿がオーバーラップして、記憶が塗り替えられちゃったほど。
先日観た平成版のラストで佃がついてこなくて、あれ?佃は何処だ?カットされたのか?と慌てちゃったほど。

 
とはいえ、昭和版ラストシーン以外は、佃は見ててホント、イラッとするよね(^_^;)
(安西よりはマシか?)

第一外科/柳原医局員

☆高橋長英 △伊藤英明 満島真之介
ボクの中では、山本-里見、大地-ケイ子と並び、柳原は昭和版の高橋長英しか考えられません。
とにかく気が弱くて真面目、悩みに悩み抜く可哀相な姿は、伊藤英明や満島真之介の様にかっこいい人は....いや、白い巨塔の中ではかっこ悪くても、山本學の様に、かっこいい役が出来ない俳優さんがいいんですよ。
白い巨塔の中にあって、財前、里見が主役なのは誰もが認める所だろうけど、柳原は正にキーマン、てか準主役!。

登場人物のほとんどが財前的か里見的かに分かれる中、どちらにも行けない彼の苦悩を如何に描ききるかが、この白い巨塔の出来を左右するポイントだと思ってます。
本当のことを言う勇気がほんの少し足りなくて、組織の中で苦悩する姿は、高橋長英が抜群です。
彼の家柄容姿からは、想像も出来ない縁組みが進む時も、ぼそっと「偽証の代償か」と呟く辺り、こっちまで苦しくなってくる。(T^T)

控訴審終盤では、柳原が傍聴席で暴れだすのはまだか?そろそろか?と、ずっとヤキモキしながら見てるボクです(;´д`)

第一内科/谷山医局員 竹内医局員

◎堀内正美 ○佐々木蔵之介 
里見の部下。共にTVドラマのオリジナルキャストらしい。
以下、俳優云々でなく、役の設定について。

平成版竹内は里見を尊敬するも、里見の融通の利かなさ、世渡り下手さに歯がゆさを感じてるけど、昭和版谷山の方は、まじめで誠実、というか、佃の財前ラブを上回るほどの里見ラブっぷり。
里見を悪く言う第一外科の連中ともみ合いの喧嘩もしばしば。
最後は、里見が浪速大学出る時、一緒に辞めてついてっちゃうほど。

平成版竹内の方が現実的の様な気もするけど、一途な谷山、好きだなぁ。なんか、ホッとするんだよね。
年取ったのかなぁ、ボク。(^^ゞ

元婦長/亀山君子

○松本典子 ◎西田尚美 ミムラ
昭和版の松本典子、スワローズの苫篠と結婚したアイドルの松本典子ではないですよ~~~
昭和版と令和版は家庭を持ってて、流れ的にはしっくり来るんだけど、平成版の亀山婦長、柳原との恋愛らしきものも絡んで、要らんわそんな話し~~~と言いたい所だけど、この西田尚美がまたいいんだよね~~。
木村多江と同様、この白い巨塔で知った女優さんなんだけど、密かにファンになっちゃいました。
えっ?それこそ要らん話し?
ミムラは好きなんだけど、ちょっと婦長さんって感じでないよね。

金沢大学/菊川昇教授

◎米倉斉加年 △沢村一樹 - 
どちらも地方の大学とはいえ、教授!って感じではないんですが、米倉さんは正に学者!って感じですねぇ。
沢村一樹は、演技そのものより、ボクの中では当時、下ネタ好きのエロ俳優ってイメージが抜けきれなくて...どうもすいやせん。

手術後亡くなられた佐々木庸平

谷幹一 田山涼成 柳葉敏郎
この人は、出てきてすぐ死んじゃうんでねぇ(^_^;)どうでもいいとまではいわないけど(;^_^A
そんなすぐ消えちゃう役に柳葉敏郎持ってくるなんて、令和版なんと贅沢な!と思いやしたよ。

佐々木庸平の妻/よし江

◯中村玉緒 ◯かたせ梨乃 ◯岸本加世子
この役は、大変重要な役ですが、各々がいい味出してます。好みで言えば、中村玉緒がしっくり来るかな。

佐々木庸平の息子/庸一

◯中島久之 ×中村俊太
昭和版の中島久之、超まじめ設定。いいですね~~~。すべてに一生懸命で。
一方、平成版の中村雅俊のせがれ、評判にはなったけど、いただけない。最終的には大麻所持で芸能界引退って事になったけど、この時の演技も、どうなのよ?って感じで、イライラして観てましたね。

原告佐々木側弁護士/関口仁弁護士

◯児玉清 ◎上川隆也 斎藤工
児玉清、スンゴイまじめで正義感強くて優しい弁護士さん。相手側の弁護士には若いけど切れ者って言われてるけど、切れ者感は上川隆也の方が上だね。あえて、最初は悪徳感も醸し出したりして...
田宮次郎Vs児玉清は、クイズタ~~イムショック!♪チャッチャッチャッチャ Vs パネルクイズアタック25! 16に赤が飛び込む~~~ってシーンが出てきちゃって...すいません。

被告財前側弁護士/国平弁護士

△小林昭二 ◎及川光博 - 
こちらも、切れ者って感じで登場するんだけど、小林昭二(ウルトラマンのムラマツ隊長)、どうもピリッとしない。最後の方では、財前に「弁護士は向こうの方が上だな」なんて(__;)。
及川弁護士は、ちと若すぎる感はあるけど、眼光鋭く、切れ者!って感じ。

財前の実母/黒川きぬ

◯中北千枝子 ◎池内淳子 ◯市毛良枝
原作では一審後に亡くなられてるそうだけど、TVではどの版も変えてて正解だね。
それぞれ理由は違えど、財前が生きてるうちには会えず、亡骸に向かって、ってところは号泣ですよ、あぁた。

昭和版中北千枝子のきぬさんは、ホントに田舎にいるおばちゃん、って感じで、一番自然な配役かもしれない。
池内淳子の様な大女優には、ちょっと違うのかもしれない。
ただ、どうゆう理由か自分でもわかんないんだけど、池内淳子がしっくり来るんだよね〜。なんでだろ?

市毛良枝は個人的に好きな女優さん(要らん?そんな話し)

サイドストーリー

昭和版と平成版には、オリジナルのストーリーが織り込まれてる。
 
昭和版は、後半、里見が行った近畿癌センターでの出張検診で「癌かも?」という患者さんとの物語。
いかにもって感じの偏屈なうめおばあちゃんに、散々悪態つかれながらも、里見らしく、はっきりするまで徹底的に検査検査!

遂に初期癌とわかり、手術してうめさん命拾い。
その後、様子を見に行った里見が帰る時に、あの偏屈婆さんが「おおきに、おおきに」と感謝。
ボクぁ、このシーンがもの凄く好きで、この一連の物語での里見が、ボクにとっての“里見像”になってるんすよねぇ。

一方、平成版は前半の、里見がまだ浪速大学にいる時のお話。

末期癌の林田加奈子への里見先生のフォロー。
里見にステージⅣと告げられた木村多江-林田。
涙と鼻水で号泣し「家族はもういません。仕事ばっかりしてたから恋人もいません。ライバルはいても友達はいません」と。
そして「その時には、先生、そばにいてくれますか?」
ここも名シーンですよね。

木村多江はこの時初めて見たんだけど、暫く、この人見るとその都度あのシーンが蘇ったよ。

癌は怖いけど、検診で早期に見つければ助かるんですよ、という昭和版。
終末医療に取り組んだ平成版。
共に、時代を反映した、いいストーリーだと思います。

そして、里見という医師をこれでもかと描き、ラストの財前の死期での里見への友情を強く浮かび上がらせる伏線になってると思う。
20回30回と続くドラマでないと描ききれないけどね。

ラスト(財前闘病部分)

控訴審判決から、財前の癌発覚、そしてその最期までの部分。

平成版は、じっくり細かく丁寧に描かれてるのに対し、昭和版はたった1回に凝縮。
ここまで30回もやってきて、ここを1回で?
長すぎると感じる学術会議会員選挙は、あんなに要らんだろ!?
だったら、もっと財前の最期を丁寧に!
おそらく、田宮二郎の躁鬱病が深刻で、早く切り上げざるをえなかったのだろうと思う。
ただ、田宮二郎のあの神がかったというか、何かに取り憑かれた様な演技も、この病に起因してたのかも、と思うと、病も痛し痒し。
 
昭和版-平成版を比べてみましょう。

大きな違いは、本人告知をするしない。
癌患者への本人告知の考え方が大きく変わったのは1990年代。
昭和版では、里見の胃カメラによる診断に始まり、最後まで本人には告げず。
病床で「本当のことを言ってくれ」という財前に、里見は友としては伝えたいが当時としてはそれはご法度!その辺の苦悩ももうちょっと尺があればじっくり描いて欲しかった。
一方、本人告知の考え方が大きく変わった平成版では、手術により手遅れが判明した後は、鵜飼が又一に本人に知らせるか?問うた際「そんなこと言えまへんがな」と言うも、異変を感じた財前が里見の病院に行って診断してもらい、里見は真実を告げる。
あの場面は泣けます。「僕に不安はないが...ただ、無念だ」

時代の違いが如実に現れた描かれ方ですな。

平成版は、とにかく尺が短くて、残念至極。
東(元)教授が、財前の手術を引き受ける下りや、開けてみたら手遅れと悟る場面などもうちょっと丁寧に描いて欲しかった。
ホントに東教授、財前を本気で助けたかったの?と思っちゃう。
鵜飼が第一外科の次期教授候補を挙げた時に、「財前君はまだいきてるんだ」と怒る東教授にホッとはしたけど。

平成版は、ドイツ・アウシュビッツで見た捕虜収容所の記憶が最期に大きく影響してて、これも良かった。
昭和版では、ドイツでは、遊びまくってたからね(笑)

平成版では、ケイ子とは屋上でのツーショットシーンがあったけど、ここは昭和版の会わずに里見に薔薇を託す方がいいね。
里見への手紙の中で、薔薇の花を引き合いに出して、里見に「ケイ子に『お袋を頼む』と伝えてくれ」みたいなことがあって、いいね。
 
後は何つっても、昭和版・佃の号泣だな。

音楽

渡辺岳夫 ☆加古隆 兼松 衆
圧倒的に平成版です!
総回診で始まるオープニングとちょいちょい使われるBGMの、あのギター。
エンディングは「アメイジング グレイス」を採用。
いつどこで聞いても、大学病院の中の重苦しい空気が連想されます。
音楽だけでも十分感動できそう。

昭和版も悪くないけど、インパクトは全然ないよね。
あんまりBGMに力入れてなかったのかな?

おわりに

いつもの通り、好き勝手に書かせてもらった。(ちと長すぎるか?)

「〇〇は昭和版の##しかあり得ない」という役が数人。
昭和版以外が好きな人には相当反発食うだろうなぁ(-_-;)

この山崎豊子の「白い巨塔」は、ストーリーも素晴らしいが、特筆すべきは、登場人物の人物像であろう。
各バージョンで、若干その設定は違ってくる。
これだけの名作、どのバージョンも相当気合入れて作ってるので、最初に見たバージョンは相当心の奥深くに残るはずだ。
前もって原作読んでれば別だが、当然、その人物像を演じきった役者に肩入れするのは致し方なかろう(という言い訳)。
(ボクも、平成版から入ったら、里見は江口洋介しかあり得ない!と思だろうし)
許してちょんまげっ!

 
それと、もひとつ。
そのTVが作られた時代に、見る側が生きていたか、というのも重要みたい。
それぞれのバージョンの時代背景を理解してないと、ホントの意味でその作品を楽しめない部分もあるんじゃないかと。
時代背景の理解度も、実際、その時代に生きていたかってのも左右するみたいですなぁ。
逆に、ボクみたいに既に頭固くなっちゃってから見た新しいバージョンは、どうもすーっと入ってこない、ってのもあるのかもしれない。
 
 
とはいえ、また新しく作られるのであれば、間違いなく期待して観ちゃうだろうし、まだ観てない昔のバージョンもこれから観る気満々なボクでした。
んじゃ (^_-)☆ /~~~

コメント

  1. いやあ、超長尺のエントリ、読み応えありました〜
    白い巨塔、実は私は昭和の田宮バージョンしか観ていないんですよ。
    私の場合は田宮さんの印象が強すぎて、他の人が演じているのを見る気がしなかったというアタマの硬さです(^^;
    田宮さんは『白い滑走路』も好きだったなぁ。
    JALのパイロットやって、英語もネイティブとまでは言わないけど、よどみなくしゃべっていてかっこよかった。知的なんですよね。40代前半と思えない大人っぽさです。
    太地喜和子さんも好きでしたね〜
    格別美人というわけじゃないんだけど、なんとも言えない色気と凄みが同居した名女優だったと思います。ああいう人、いまいないんですよね〜

    あ〜楽しかった(^^)

    Kachi//

    • なかなかの大作?でしょ?(笑)
      全部読む人なんかいるんじゃろか?と思いながら書いてました(^◇^;)

      やっぱ、昭和版見ちゃうとねぇ...(ーー;)

      あっ、「白い滑走路」は見てないんですよぉ〜。

      田宮二郎!太地喜和子!
      なかなか、あんな役者、出てこないですよね〜。
      太地喜和子が三国連太郎に惚れて、ロケ地の北海道まで追っかけてった時は、撮影してた飢餓海峡(この映画もすごい映画でしたが)の中での三国連太郎の相手に嫉妬してたって、ちょっと尋常じゃないですよね。

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